こちら、終末停滞委員会。1

ラノベ

 人の心が読める言万心葉ことよろずことはは能力を買われマフィアで人殺しに加担させられていた。クズな自分だけど、ライトノベルの主人公になりたい、その願いを魔王を名乗る少女に語ると彼女の怪物が辺り一面を蹴散らした。 

 心葉が目を覚ますと、女神から異世界転生を案内される。ライトノベル的展開に胸躍らせるが何かおかしいと感じる。 

 女神は「終末」だった。 

 救われたはずの命が奪われる瞬間、 

「運命とは私! 私自身が宇宙のサダメ! 天上天下唯我独尊!」 

 桜色の少女がギターで女神をぶん殴った。少女は何者なのか。 

「―終末停滞委員会。終わってる世界を護り続ける、馬鹿な物好きの集まりです!」 

 滅びを止められない世界を少しでも延命する終末停滞委員会。それを擁する蒼の学園に心葉は自分の有用性を示して命を保証してもらう。 

 心葉は蒼の学園でなら憧れていたいいヤツ、ライトノベルの主人公になれるかもしれないと思った。 

滅びゆく世界の最後の青春 

圧倒的な情報量が圧倒的な脚本術で整理されている

複雑に絡み合ったSFが大好きな人!

☑ゴツイ武器で戦う女の子が好きな人

☑能力バトルが好きな人!

 情報量が多い。用語が多い。キャラが多い。能力が多い。伏線が多い。とにかく濃度が高い1冊に仕上がっており、読み応えがある。伏線と思われる箇所も多く、どのタイミングでどの伏線が起爆するのかわからなくてわくわくする。

 もちろん、世界観やら設定やら小難しい話だけじゃなく、ヒロインの可愛さが光る学園ラブコメも用意されている。ラブコメのお約束展開や主人公が主人公するかっこいい場面も緩急が鋭くついた最後まで楽しめる小説だ。 

学園ラブコメ

 ラッキースケベがあり、女子しかいない寮に1人だけ男が住めたり、チョロインがいたりゴリゴリのSFでありながらラブコメのお約束をきちんと踏んでくれている。

 特に生徒会長のエリフと主人公の絡みが好き。異端審問会ではエリフが心葉ことはを手助けし、心葉を自分の忠実な部下にするためにスカウトしようとした。常にクールで自分が主導権を握ろうとするも、心葉を篭絡する時に自分が真っ赤になってる。 

「―だったら、ボクと恋愛とやらをしようじゃないか」

 と、余裕をかますが、

《な、なんだこの感じ。少しくっつくぐらい、全然余裕だと思ったのに》

《ボクの心臓、馬鹿みたいにどくどく言ってる》

《男の子の胸板、厚い……これ作戦ミスか? ええい、ままよ!》

 いいね~、自分から攻めたのに照れて恥ずかしくなってる女の子ってすごい可愛い。ここだけでエリフのことが好きになった。 

心が読めるから鈍感難聴主人公ができないのが痛い。 

心が読める能力が生かされる臓物マンション 

 心葉ことはは体験入学ということで「臓物マンション」と呼ばれる終末の対処を見学することになった。小動物系女子の小柴こしばと三大学園の1つであるカウス・インスティトゥートのレアとマギナの3人に同行して臓物マンションを調査する。 

 心葉とレアの性癖の晒し合いが面白い。性癖を言うって普通しないけどレアの言っていることには妙に説得力がある。心葉の巻き尺フェチは少しわかる。レアの脱皮フェチはマジでわからん。どこに興奮するのかさっぱりわからん。でも性癖の晒し合いって絶対仲良くなるかドン引きされるかの2択で面白そうかも。1番恥ずかしい部分を共有したからこそ「友情!」っていう謎の絡みができるくらい仲良くなれたんだろうな。 

 ここの話は主人公が性癖を公開しただけで終わるわけではない。臓物マンションの元凶であるゴールと対峙し、心葉以外の3人が無力化される絶体絶命のピンチに陥る。 

 攻撃力がない心葉の頭脳プレーによって逆転するこの場面が1番面白かった。心葉がゴールの心の中を読んでデタラメとハッタリで彼の興味を引き時間を稼ぐ作戦は、自分の能力を活かしながらもどこでボロが出るかわからない綱渡りな、賢くも大胆なやり方で脳汁がすごい出た。

 ゴールのセリフで、 

「まさか、殺される覚悟もなしに、銃口を他人に向けているわけじゃないだろう?」

 撃っていいのは撃たれる覚悟がある奴だけだ、みたいな感じでいい。

★★★★★★★★☆☆ 8/10

 面白かったけど物語としてはまだまだ序の口という感じ。多分ここからもっと面白くなる。

 あらゆる終末の性質である進化。進化が最終段階まで行くと宇宙が終わる。進化するほど滅亡に近づくこの設定は人間社会にも言えそうだし、天元突破グレンラガンにもあったから印象に残っている。

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