あらすじ
床には、赤黒い液体が広がっている。
よく見ると、彼女の胸には棒状の物が刺さっている。
扉には内鍵がかかっているが、覗き窓を叩き割り、美術部室に飛び込んだ。
近づくと、胸に2本、腹に1本、計3本の矢が刺さっていた。
彼女が囚われたのは、誰にも『視ることのできない』密室殺人だった。
◇◇◇
紅葉が施設にいた時に一緒に生活していた双子の姉妹、エレインとメアリンが転校してきた。
再会を喜び合い、3人でショッピングモールに行くと女性服売り場で紅葉の着せ替え大会が始まった。
「ちょ、ちょっと、あんまり脚が出るのは無理よ」
「これはちょっと私には可愛すぎないかしら……」
「天内くんはこういうの喜びそ……あ、いや、なんでもないわ」
3人で始まった着せ替え大会にソラや店員の藍花も加わり大盛り上がり。
しかし晴麻がエレイン、メアリンと初めて話した翌日に、エレインは美術部室で、メアリンは女子更衣室で死んでいた。
エレインの部室に残されたジョージ・フレデリック・ワッツ『希望』の模写に書かれた×印のダイイングメッセージ、入れ替えられた男子更衣室と女子更衣室の鍵。
密室が示す謎の正体は……。
すべての情報が謎を解くカギとなり、何を言ってもネタバレになる異能力ミステリーの第2弾。
「すみません、その…………………つい、したくなって…………………」
ドーレー可愛すぎだろ!
ラブの勢いも加速する。
真実が明かされた時、衝撃を受ける。新たな事実が判明すると新たな疑問が生まれ、解決してまた衝撃を受ける。
こんな人におすすめ!
☑全ての情報がカギとなる無駄のないミステリーが好き!
☑頭脳戦だけでなく、甘々なラブコメやド派手なアクションも楽しみたい!
☑異能力があるからこそ成立するトリックと推理に挑戦したい人!
感想(ネタバレあり)
出てくる情報のすべてが伏線として機能する、無駄のないミステリーだからこそ読後の満足感が非常に高い。何気ない言動や行動の一つひとつが謎を解く手がかりになっており、1文たりとも気が抜けない。読み進めながら情報を集め、出揃ったところで推理してみても、1歩……いや2歩届かない。そのもどかしさがたまらない。
本作は異能力ミステリーだが、能力者が異能力で謎を解くだけの作品ではない。むしろ、異能力を持たない人間が、その異能力を利用してトリックを完成させる点が最大の特徴だ。異能力がなければ成立しない・見抜けないトリックであることを前提に推理しなければならず、そこが抜群に面白い。他のミステリー作品とは明確に一線を画している。
新キャラ
2巻では魅力的な新キャラクターが多数登場する。中でも印象的なのが、紅葉と同じ施設で育った双子の姉妹、エレインとメアリンだ。
勝気な姉・エレインは絵を描くのが得意で、金髪ツインテールに強気な性格という属性盛り盛りの最高のヒロイン。一方、内気な妹のメアリンは晴麻を「イケメン」と評する小動物系の不思議ちゃんで、姉とは正反対の性格をしている。この対照的な双子の関係性がとても良い。
また、澪太郎の上司として女性刑事・湯之宮が登場するが、彼女もかなり癖が強い。事件現場に高校生がいることを快く思わず、当初は晴麻たちに厳しく接していたものの、喫茶店で密室トリックを解いた途端に態度が一変。「天内きゅん」と呼び始める変態警察へと進化(?)する落差が強烈で、印象に残るキャラだった。
惜しむらくは、本作がミステリーであることだ。新キャラの登場は、すなわち新たな事件の被害者や犯人の登場でもある。これほど魅力的なキャラクターたちが、被害者や犯人として物語から退場してしまうのは、どうしても切なさが残る。
見たことのないトリック
本作ならではの“変態トリック”も健在だ。異能力を活かした天才的発想とは真逆の、黒タイツというフェチ的かつ低俗な発想をトリックに昇華しているのが素晴らしい。前巻のブラのフロントホックに続き、今回はフェイクタイツ。自分の癖をここまで綺麗に作品へ落とし込める作者は、もはや究極のクリエイターだと思う。
ド派手なアクション
カルバンとソラが敵と戦うシーンの迫力は、ミステリー小説であることを一瞬忘れさせるほどだ。異能力を持たない敵が、時の破壊を使うソラと互角以上に渡り合う展開には、「さすがに強すぎでは?」と思いつつも圧倒された。ミステリーだけでなく、アクション面でも強烈な衝撃を受けた。
爆発が起こるショッピングモールをメルセデスで駆け抜ける場面は、まるでハリウッド映画のようなド派手さで、映像が自然と頭に浮かぶ演出だった。
総合評価
★★★★★★★★★☆ 9/10
晴麻と紅葉のイチャイチャも微笑ましい。それぞれが異性と仲良くしているのを見て嫉妬しているのが可愛いね。



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