時をかけるゆとり

一般小説

 エッセイを読んだのは『枕草子』以来だったが、こんなに笑えるとは思わなかった。

 誰にでも人生の中に面白いエピソードはあると思う。しかし、その出来事を「面白い」と自信を持ち、文章として面白く書き、さらに読者に「面白い」と思わせるのは相当難しい。
 それを軽々とやってのけているのが『時をかけるゆとり』だ。

 作者・朝井リョウ自身や周囲の人々の奇行が、朝井さんの視点で描かれることで強烈な笑いに変わる。自身の便意にまつわる珍妙な出来事から、友人の言動への地の文ツッコミまで、とにかくキレがある。異常な展開を、独特でクセになる言い回しで料理し、読者を一気に引き込んでくる。

 冒頭の年表からすでにクスッとさせられる。波乱万丈というほどではないが、飲み会のネタになりそうな絶妙に“変”な出来事が並んでいる。この年表が就活用の自己分析シートとして提出されたら、さぞかし強烈だっただろう。

 特に印象に残ったのは就活の章だ。就活エッセイを書くことになった章では脚注が多用されている。脚注は本来、難解な語句を補足するためのものだが、ここでは作者のしょうもなくも鋭いコメントが差し込まれる。その脱線がいちいち面白い。

 しかも、ただ笑えるだけではない。就活への不安、内定後に待ち受ける社会人生活への恐怖、「終わったはずなのに安心できない」というあの感覚。大学生の逃げ出したい気持ちを、これでもかというほど正確に代弁している。(別に、便意の話から始まるエッセイだからといって「大便」と掛けたわけではない。)

Amazon.co.jp: 時をかけるゆとり (文春文庫) eBook : 朝井リョウ: Kindleストア
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就活のエッセイに影響されて私も書いてみました。

少し飲み物が残ったペットボトルを空中で回転させて着地させる遊びをするくらい暇だったら読んでください↓

残念系就活生★★☆(星2つ半)

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