クスノキの番人 東野圭吾
★★★★★★★☆☆☆ 7/10
思いを託し、受け取り、歴史を紡ぐ物語。
生命の象徴とされるクスノキにピッタリな親子のお話でした。
職場でクビになり、仕返しとばかりに職場の機材を盗もうとしたが失敗して逮捕。突然現れた弁護士から依頼人の指示に従うなら、釈放されると説明を受ける。どうしようもないから提案に乗り、伯母だと言う依頼人に会い、クスノキの番人を任されることになった。クスノキの番人の使命を通して自分のルーツ、様々な家族の歴史を知っていく。
こんな人におすすめ人におすすめ!
☑親子の愛の物語が読みたい!
☑ミステリー要素も欲しい!
☑主人公の成長物語が好き!
感想(ネタバレあり)
祈念に来る人の謎を辿っていくうちに、それぞれの家族のルーツを知って念を預けた人間の思いに触れ、託す側と託された側の決意や行動に温かさを感じる。
血縁者しか念を受け取れないため、必ずクスノキには家族が来る。
親子関係に恵まれた優美
一般的な家庭に生まれ、親の愛も注がれた優美だが、父親が夜中に神社に出かけたり、渋谷で女性と会っていたりしていることに怪しさを感じる。浮気だと疑い、玲斗と調査を行うなかで父(寿明)と父の兄(喜久夫)の複雑な関係を知る。
母に音楽の才能を期待されすぎて耐えられなくなった喜久夫と、喜久夫の人生を台無しにしてしまったと悔やむ母。お互いにお互いの人生を歪めてしまったが、亡くなる前に喜久夫が母に向けてクスノキに残した曲を寿明が受け取り、受け取った念をまたクスノキに込めて優美が受け取り、共有して完成させたアイデアと人間ドラマに感動。
本当の子どものように育てられた壮貴
大企業の社長である父親が亡くなり、跡取りが問題となる中、遺言書ではなくクスノキに念を込めた言われ、息子の壮貴が受念しにいく。だが、壮貴と父親には血のつながりはないから受念できない。
血のつながりがなくても、受念できなくても父の思いを受け取ることはできるし、クスノキの性質を利用した跡取り問題の解決策も素晴らしい。
親を知らない玲斗
ホステスの母親との不倫でできた子どもであり、父親のことは知らないし、母親も幼くして亡くなったため、親を知らない。
クスノキの番人の仕事を通して伯母と関わり、時には伯母に褒められ、時には叱られ、最後は支えている関係性は親子のようだった。
また、親を知らない玲斗が色々な親子の形に踏み込んでいく構図が良かった。
総評
クスノキとは、祈念とは、寿明は浮気しているのか、壮貴はなぜ受念できないのか、多くの謎が親子関係とともに明かされていく、人間ドラマがメインのミステリー作品。
きれいにまとまった作品だが個人的には動きが少ないと思った。いわゆる怒涛の展開やどんでん返しが好きな私にとっては少し好みとずれていましたが面白かった。


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