どんどん橋、落ちた

一般小説

 ミステリー小説と聞くと、最初に死体が転がる。そして舞台や登場人物の説明が始まり、事件が起こって探偵役の主人公が謎解きをしながら、また人が死ぬ、というイメージを持っていた。

 『どんどん橋、落ちた』は違う。5つの話からなる短編集だからこそ、動機や細かい人間模様などがそぎ落とされた謎解きに特化した犯人当て小説である。

 問題篇と解決篇に分かれ、問題篇で推理に必要なすべての情報を提示し、読者にフェアな状態で謎解きをさせる。

 1つ1つのエピソードが短いから情報整理もしやすい。

 作者が読者にとって万全の状態で宣戦布告をし、見事に騙しきるのである。

絶対に騙される犯人当て小説

☑絶対に騙されない自信がある!

☑犯行の動機や人間ドラマよりも純粋に謎解きだけを楽しみたい!

☑短時間で犯人当てをしたい!

騙される叙述トリック

 1話と2話はまさにそう。それぞれの設定が似ているから2話では絶対に騙されないと思いながらも引っかかってしまう。ただ、若干せこいと思う笑。

 ミステリー小説としてのルールは遵守している。情報はすべて明かされているし、超常的な力が出るわけじゃないし、文章で伏線を張って読者にも気づけるように工夫がされている。

 だが、常識は破っている。語り手は言っていないけど、読者は犯当て小説だと思って読んでいる。まさか犯人が犯人・・ではないとは!

 名前や文章で気づけるようにしているが、違和感があっても考えつかない。

伊園家

 個人的にお気に入りの話。投げやりな推理ながらも当てられたっていうのもあるけど、日曜日の定番アニメのオマージュでありながらも内容は対極にあって笑えちゃう。

 舟と思われる常が錯乱して包丁を振り回して暴れ、最後に自分の胸を貫く。そのショックで民平がギャンブルにハマり借金を残してアルコール中毒で死ぬ。松夫は不倫し、笹枝は薬物、樽夫は心を閉ざしいじめられっ子、和男は典型的な不良、若菜は交通事故で両足を失う。

 全員が暗く澱んだ目をした陰惨な家庭。

 とにかくお金に困っている家で保険金目当てで笹枝が死ぬ。

 謎解きや犯人よりもこの笹枝さん一家の行く末を見守りたいという興味が勝った。

  ★★★★★★★★☆☆ 8/10

 短い話だから読み返しやすく手がかりを見つけるのが簡単だから謎解きが楽しめる。作中でも言われているが、叙述トリックではあるものの、なんかせこくて腑に落ちない。というか見抜けなかった敗北を認めがたい。

 

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