あらすじ
闇ハラ… 精神・心が闇の状態にあることから生ずる、自分の事情や思いを一方的に相手に押しつけ、不快にさせる言動・行為
澪は面識もない、初めて会った転校生・白石要からジロジロ見られ居心地の悪さを感じつつも、クラスに馴染めない彼のために気を遣っていると、「今日、家に行ってもいい?」といきなり言われた。
憧れている陸上部の先輩である神原一太に相談するも、態度が次第に変わっていく。
学校、団地、職場あらゆるところで悪意を振りまく人が周囲を不幸にする。
「あの人ちょっとおかしい」の物語化
価値観の違いが人を恐怖させる
こんな人におすすめ!
☑近くに周囲から浮いている変な人がいる
☑背筋がぞわっとする物語が好き
☑現実的な恐怖が好き
感想(ネタバレあり)
異質な価値観
他人を恐怖するときって相手の価値観を理解できないときだと思っている。
前に部活帰りでもなさそうな高校生がフードコートの丸亀製麵で大盛のうどんと天ぷらを3つ食べていた。よく食べるなーって思っていると、その後、マックでハンバーガーとポテトを注文していた。他人の食生活をとやかく言う権利なんて誰にもないけど、体のことを考えたら自分ではしない食べ方だったから少し驚いた。
この作品は一般の価値観から逸脱している人の異質さを言語化することに卓越している。特に2章に登場する神原かおりは凄まじい。
まずは見た目だ。関わっちゃいけなそうな人って身だしなみに無頓着すぎる。手入れがされていない髪、皺が寄ったブラウス、肌に合わない化粧、とにかく洗練されていない。しかも今の時代にガラケーを使っている。これだけでヤバい人臭しかしない。
次に相手との距離感がバグってる。相手のことはズケズケと不躾に聞いてくるくせに自分のことは話さない。仕事のこと、子どものこと、連絡先など次々と聞いてくる。内容にもよるけど少しずつ距離感を詰めてから聞くものだろう。
神原かおりは梨津がアナウンサーだとわかると「自分も」と同調する。一発で嘘だとわかるし、ここで笑わなかった梨津は偉い。さらに神原かおりは相手の目の前で相手のことをネットで検索し始める。
一般常識が欠落していてかわいそうだし、本人は自分が変なことをしている自覚がないっていうのが救いがない。
印象が180度変わる
価値観以外にも人に恐怖を感じさせることはある。第一印象との乖離だ。
澪は白石要から妙な好意を抱かれていることを陸上部の憧れの先輩である神原一太に相談した。
白石要の異質さを書き出した後に爽やかな先輩の神原一太を登場させることで、神原一太の良さを引き立たせるし、敵と味方を明確に分けることができる。澪の視点で話は進むから、神原一太がヒーローに見えるのは当然。しかし、神原一太は事あるごとに澪のことを責め続ける。モラハラ彼氏となってしまう。
昨日までは優しかった、前はもっと気遣ってくれた、過去の優しさがあるからこそ怖さが引き立つ。キャラクターの印象がプラスからマイナスに一気に反転する感覚がすごく面白かったし、人の印象が一瞬で変わってしまう怖さも感じた。
団地でボスをやっている沢渡博美もだ。色んな人を気遣っているように見えた博美も、コミュニティの支配欲や自分より上が現れることへの嫌悪、自分は手を汚さずに他者を貶めようとする手口など、ある1面を見ることで評価が一変してしまった。
総合評価
★★★★★★★☆☆☆ 7/10
感じたことのある恐怖、変だと思った人を言語化してくれる。サイコパス人間が多く出てきて面白いです。



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