トリック・オア・デリート 不可解01:世界に殺された少女アリシア

ラノベ

 エリオットは最愛の人、アンジェリカ・ミスティルーンを尊敬する兄によって消された。 

兄であるオスカーが言うには完全犯罪とは 

「最初から被害者なんて存在しなかった―と、世界を書き換えてしまえば良い」 

 アンジェリカの存在は消され、誰の記憶からも消えてしまった。ただ1人を除いて。 

 アンジェリカの生を繋ぎとめるためにエリオットは自身の魔力を犠牲に彼女の存在を蘇らせた。 

 魔術が使えない魔術探偵と世界から存在を消された助手の少女による魔術ミステリーだが、単なる探偵と助手の枠を超え、互いへの深い罪悪感と恋心が複雑に絡み合う、濃密で純粋な両想い、つまり純愛を楽しめる。

根底を覆す真実を刮目せよ

探偵と助手、王道の組み合わせだがそれ以上の絆のバディ

ミステリーの王道要素が組み込まれながらもそこに魔術が加わることで予測不能なトリックを完成させる

☑中世のイギリスで魔法、この世界観が好きな人!

☑秘宝の奪取を狙う脅迫状、警察官の護衛、密室殺人など王道ミステリーが好きな人!

☑バディ作品が好きな人!

 トリック・オア・デリート。タイトルで惹かれた作品だった。騙すか消す。この作品の内容やあとがきから意訳すると、「欺いて生きるか、真実がバレて死ぬか」だろうか。

 表紙のアリシアにも惹かれた。オッドアイの女の子、可愛い。片目の色が真紅なのはオスカーと関係があるのだろうか。エリオットが魔力を流したことでアリシアという少女が生まれたのであれば目の色は灰色に変わるはず。そもそもエリオットだけで、魔力で人間の体を再構築するなんて本当にできるのか。多分、オスカーが助力をしたおかげでアリシアという少女が生まれ、真紅の目になったと思う。キャラのビジュアルだけで色々考察ができてしまう。

 表紙にアリシアと一緒に描かれた蝶にも何か意味があるのかもしれない。蝶が物語の中で登場したのはオスカーが鱗粉の話を出したところ。他にも出ていたかもしれないから探すとしよう。だとすると今後の展開に意味を持つのか、この作品が『選択』の物語であることからバタフライエフェクトを示唆しているのか。わからないので、有識者の方教えてください。

 前述したが、あとがきからもこの作品は『選択』の物語だ。タイトルも「オア」という選ばせる単語が含まれている。アンジェリカの亡くなる一幕、ローズマリーが火薬銃フォルスを使う時、極めつけは第5章の列車でオスカーとエリオットの対決。第5章ではオスカーからエリオットは様々な天秤を突きつけられる。犯罪者の命と市民の命、どちらを助けるか。アリシアの命と市民の命、どちらを助けるか。まさしくトロッコ問題であり、列車が舞台になっていることも踏まえて『選択』の物語の締めくくりとして最高だった。

 最後のオスカーから告げられた真実はタイトル回収ならぬタイトル超越である。トリックかデリートではなく、トリックとデリート両方をした。トリック・アンド・デリートに改名したほうがいい。

★★★★★★★☆☆☆ 7/10

最後の展開に驚かされ、考察のしがいがある読み応えのある作品でした。

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