スナイパー・イズ・ボッチ

ラノベ

 武器が銃のみのVRMMORPG『Gun Fight Online』。
「人と喋らなくていいから」という理由で2000時間もやり込んだ古式レイ(プレイヤー名:シキ)は、筋金入りのコミュ障だった。

 プレイヤーアイコンがレーダーに映る。

「……撃つか……喋りたくないし」

 パン、パン、パン。――はい、3キル。

「悪く思わないでね。許可なくコミュ障に近づいたのが悪い」

 本来は過疎気味のはずのこのゲームに、なぜか翌日からプレイヤーが続々と集まり始める。現れた相手を次々と狙撃していくシキだったが、目立ちすぎることを嫌い、あっさりとゲームを引退してしまう。

 新しいゲームを探していたレイに、妹の梓羽が勧めてきたのは、超人気VRMMORPG『インフィニティ・スペース』。

 人が多すぎるゲームに本気でのめり込むつもりはなかった。ただ軽く触るだけのつもりだった――はずなのに。

 これまで磨いてきた狙撃スキルを武器に、初心者ながら最強プレイヤーに一撃を叩き込み、思わぬ形で注目を浴びることになる。

スナイパーとして相手との距離の取り方は天才、人間関係の距離感は測れない

上級プレイヤーの視点を体感できる大迫力バトル

☑ボッチ主人公を中心とした百合が好き!

☑女の子の銃撃戦が好き!

☑ゲーム内世界を舞台にした作品が好き!

 VRMMORPG「インフィニティ・スペース」の初心者・シキは、超高難易度ステージにいる「白い流星」に一発当てたり、貧弱な装備でボスを倒したりと、圧倒的な技術を見せつける。しかし本人はその凄さに無自覚で、周囲だけが騒然とする。

 誰も倒したことのない「白い流星」の二つ名を持つシラホシに名前を聞かれ、ましゅまろスマイルというチームからは尿意を取引材料にした強引な勧誘を受け、さらに最強無敵のアイドルからもスカウトが来る。現実では、容姿端麗・成績優秀の完璧超人である生徒会長との密会まで始まる。コミュ障でぼっちを極めていたレイ(本名:古式レイ/プレイヤー名:シキ)が、いつのまにかモテモテになりあたふたする姿が可愛い。強敵に勝つたびゲームのスキルは上がっていくが、対人スキルは一向に成長しない。

 「あれ? 僕なんかやっちゃいました?」という系統の主人公は、描き方によっては鼻につくこともある。しかし本作では、ぼっち美少女をさらに美少女たちが囲む構図が微笑ましく、嫌味がない。

 よくある“ぼっち主人公の女子版”のようにも見えるが、本作ではぼっちやコミュ障が単なる記号ではなく、物語の設定として活かされている。ぼっちとは、人や社会と距離を置いて生きる存在。スナイパーもまた、ターゲットと距離を取って戦う。現実でもゲームでも、レイの人生はロングレンジ仕様なのだ。人に見られると実力を発揮できない点や、チーム戦でも1人になった方が強い点など、ぼっちの特性が戦闘スタイルに直結しているのが面白い。

 臨場感あふれる戦闘の中、リアルタイムで描かれるシキの思考は弾丸よりも速い。瞬時に状況判断を行い、一手二手先を読みながら敵を追い詰める様子は、まるで上級プレイヤーの思考を追体験しているかのようだ。

 本作のプレイヤー対プレイヤー戦は、奇想天外な戦術や騙し合いが多く、単なる迫力勝負ではなく高度な頭脳戦でもある。

 特に最後のツバサとの戦いは、ページをめくる手が止まらなかった。互いに化かし合いながら進む攻防の中、切り札を破られ追い詰められるシキ。しかし、たった一撃のために積み重ねてきた演技と演出が実を結び、ツバサを完全に嵌めた瞬間、読者もまた鮮やかに撃ち抜かれる。

 完璧な戦いを見せたシキだが、ランクマッチ後の顔合わせでは、ツバサとシーナの地雷を悪気なく踏み抜くという、ぼっち特有のKYっぷりを発揮する。スナイパーとしての間合いの取り方は完璧なのに、コミュ力にはスコープがついていないのが実に彼女らしい。

★★★★★★★★☆☆ 8/10

レイの無自覚無双がで女の子を色んな意味で撃ち抜いていくのが面白い。まだまだキャラを掘り下げてほしいから読み足りない。

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